― 不作の年でも、「暮らし」はちゃんと育っていた ―
2025年11月9日。
天気予報を何度も確認しながら、
畑はしっとりと湿り、レインウェア姿での作業。
秋の終わりらしい、少し重たい空気の中でのスタートでした。
それでもこの日は、
「うまくできたかどうか」ではなく、
この一年の変化と成長を確かめるには、

思った通りにはいかない
この日の大きなテーマのひとつが、大豆の脱穀でした。
本来なら、葉がすっかり枯れ落ちるまで畑で待ちたいところですが、講習の日にちも限られています。
小黒さんがタイミングを見て事前に刈り取ってくださりましたが、正直に言うと、出来はあまり良くありません。
• 鞘がまだ青い
• 乾燥が足りず、開きにくい
• カメムシなどの虫害もある
実は去年も、北杜市一帯で大豆は不作でした。「どうにか次の年の種が取れた」という状態。
今年も、それに近い年だったと思います。
それでもこの日は、
棒で叩く原始的な方法や、足踏み脱穀機を使いながら、唐箕(とうみ)で風を送って豆を選別する工程を学びました。


1kgの大豆が教えてくれたこと
1時間弱の脱穀作業を経て最終的に残った大豆は、はね(未熟豆など)を含めて約1.5kg。
食用に使えるのは約1kgほどになります。
量だけ見ると、決して多くはありません。
でも、ここで計算してみます。
• 大豆 1
• 米麹 1
• 塩 0.5
この配合で仕込むと、約4kgの味噌になります。
これは、大人ひとりが一年食べるには十分な量。
完璧な出来じゃなくてもいい。
豊作じゃなくてもいい。
それでも、暮らしはちゃんと成り立つ。
この感覚を、
数字と実物の両方で実感できたことは、
家庭菜園や自給を考える上で、とても大きな収穫でした。

※乾燥が不十分だと、かなり脱穀に影響することがわかったため、大豆はハウスで引き続き乾燥させ、後日改めて脱穀いたしました。9.5kgの大豆が無事採れましたよ!
畑では、確かな手応えも
もちろん、目に見える成果もありました。
• にんじん:約20kg
• 大根:一人10本
• 小松菜、ねぎ
• キャベツ、白菜3玉ずつ
虫に食われた部分も多少ありましたが、活力に満ちたお野菜と対面できました。
大根を抜くときは、
育ち方を考えて、逆方向にねじりながら。
こうしたプロ直伝の細かな判断や動作の積み重ねが、失敗を減らし、無理をしない畑づくりにつながっていきます。

我が家のアイドルも積極的に参加してくれました。
土のついたままの野菜を、自分の手で引き抜く。
それだけで、十分すぎる体験です。

収穫は、食べる直前まで続いている
畑のあとは、ハウスで”貯蔵”のお話。
• 鷹の爪は、よく乾かせば半永久的に保存できる
• 一日の中で一番乾燥する時間帯に収穫する
• 使う分だけ取り出す
大根は川で洗い、畑から台所へ向かう途中の時間を過ごしました。
育てることがゴールではなく、暮らしに入るところまで含めて「農」。
この感覚を共有できるのも、
シェア農園ならではだと思います。

参加者の声に表れていたもの
最終回後にいただいたアンケートには、
とても印象的な言葉が並びました。
「自然栽培はハードルが高いと思っていましたが、
月イチなら初心者の自分でも出来ると自信が持てました。」
「自給自足の生活に一歩近づいた気がしています。
1年を通して経験できたことが良かったです。」
「この土地に移住してから、
ようやく自分の中で、
「色々学んだけど、これだ、という感覚に行き着きました。」
「計画講座とセットだったから、腹落ちしました。」
技術が増えた、作業ができるようになった、というよりも、
考え方や判断軸が定まったという声が多かったのが印象的でした。

作業を終えたあとは、講師の小黒さんも一緒におつかれさま会♪
実は、ここみずがき食事処の店主さんご夫婦も、小黒さんの元で研修を積まれたそうです。
自家栽培のお野菜、新鮮なジビエ、ほっとする甘さの手作りスイーツ。何から何まで絶品でした。
大人も、子どもも、赤ちゃんも一緒の時間。
皆さんと一緒に作業をしたり学ぶ事ができてとても楽しかったです
そして、おいしい野菜をみんなで分かち合えたことに、
幸せと充実感があふれました。
次につながる位置付けへ
このシェア農園は、単にHOW TOを“教える場”ではありません。
-
どこまでやるか
-
どこで割り切るか
-
うまくいかない年をどう受け止めるか
そうした判断を、実際の畑と季節の中で体験する場です。
今年(2026年)は、
「畑の年間計画講座」を、改めて企画したいと思っています。
「暮らしとしての農」を体験してみたい方は、ぜひ今後の案内をチェックしてください!
去年のこの畑での経験が、
今年、また次の人へとつながっていく。
そんな位置づけで、
この最終回の記録を残しておきたいと思います。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!
微力ではありますが、少しでもあなたのお役に立てたら幸いです。


山下優季
